迷い

 < talk : Nora>
     初対面の翌々日、 ふたりで横浜に遊びに行くことが決まっていた。
      私はまだ、揺れていた。
      彼女は嘘が嫌いだ。
      でも、私と一緒にいることはつまり、彼女に嘘をつかせることに他ならない。
      私はもう彼女を好きになっていたが、もし本当に彼女のためを思うのだったら、これ以上深入りしないことが 
     正しい 選択だということはよく分かっていた。
       頭では。
      普段使わない脳みそをフル回転させて、一生懸命考えた。
      どう考えても、私よりも彼女の負担が大きくなるのは目に見えていた。
      彼女に辛い思いをさせたくないと願うんだったら、このまま自分の気持ちに正直になるのは間違いだと知って
     いた。 それを知っていて、彼女を想う気持ちを止められなかった。
 
      ひとのココロに鎖はつけられないんだよ。

      昔どこかで聞いたフレーズがぼんやりと頭をかすめた。
      私は覚悟を決めた。
      例え彼女に辛い思いをさせることになっても、それでも一緒にいたい。
      どんなことがあっても。

 <talk : 朔耶 >
   
    ノラを好きになってしまった。
      予定よりも早く逢うことになって、キスをして、横浜デートもすることになって。。。
      ノラのことばかり考えている自分がいる。

      私に恋人ができるなんて考えていなかった。
      大切な友達を好きになってしまって、私のワガママな想いから彼女を失って。
      心の行き場がなくなってサイトを立ち上げて、そこに気持ちを吐き出すことで自分を支えていた。
      結婚もして子供までいる私が、そんなこと言えるはずがなかった。
      想いを隠して静かに母として妻として暮らして行こうと、そう決めたはずだった。
      けれどNoraへの気持ちは大きくなる一方で。。。

      私が自分の気持ちを正直に家族に伝えることができるのならどんなに楽か。
      けれど、そんなことをしてしまったらまず離婚は免れないだろう。
      子供達の将来は・・・そう考えるとやはり家族に言うことなどできない。
      このまま走り出すのは間違ってる。わかってる。
      私なんかと付き合ったらNoraにだって窮屈な思いをさせるだろう。

      家族に対してこれ以上嘘はつきたくなかった。
      でも、それは、自分に嘘をつくこと・・・・

      Noraと一緒にいたい。これが純粋な気持ち。
      私の気持ちは決まっていた。